去る11月18日に外国学修歴・資格認証(FCE)に関する公開研究会が開催され、120名を超える参加者のもとで、活発な意見交換が行われました。
研究会の冒頭で、文部科学省の高等教育局高等教育企画課の進藤和澄国際企画室長からご挨拶をいただきました。進藤室長は、文部科学省では日本の大学の国際化や学生の双方向交流を積極的に支援し、我が国の学位等の国際的通用性を高めていくことをめざしていること、ユネスコの高等教育の資格認証に関するアジア太平洋地域規約の締結に向けた検討が進んでいることなどを紹介されました。海外で取得された学位や成績などを円滑に認証していくことの重要性が共有されました。
毛受敏浩さんの講演では、ご自身の近著『限界国家』の内容に触れ、日本における人口減少および労働力人口が加速度的に減少している現状分析をされました。それを踏まえて、定住外国人の受け入れが必須という客観的な状況と受け入れに向けた問題提起が行われました。
Chris Burgess教授の講演では、日本において「国際化」「多文化共生」という概念が展開されてきた歴史的変遷を振り返りました。日本の社会が「日本人」 対「外国人」という二分法(バイナリー)に立っており、「外国人」は何年住んでも、何世代日本で過ごしても固定的に「外国人」と区分されることなどの問題点が指摘されました。日本の社会がより外国出身者を積極的に社会の構成員として受け入れ、「開国」していくためのアクションとして、①「日本人」カテゴリーの多様化、②「日本人」の定義を緩和、③「日本人」対「外国人」のバイナリー(二分法)を分解するなどの方策が提案されました。
吉本圭一教授から諸外国で進展する職業資格枠組み(Qualification Framework)の概念が紹介されました。欧州や豪州を中心に、第三段階教育(職業教育と高等教育を総合的にとらえた概念)における学修成果と職業のコンピテンシーの対応を軸とする統合的な教育政策、国家学位・資格枠組み(National Qualifications Framework, NQF)が形成されている状況を報告されました。日本においても同様なNQFの発展が期待されています。
最後にフロアからの質疑も含めた意見交換がおこなわれ、定住外国人、高度人材を受け入れていくために、NQFやFCEなどのシステムが整備されていく必要があることが提言されました。
当日資料1_「外国学歴・資格認証システムとNQF」芦沢真五 [PDFファイル/857KB]
当日資料2_「限界国家が直面する課題」毛受敏浩 [PDFファイル/1.11MB]
当日資料3_「国際化、多文化(共生)、「開国」のジレンマ」Chris Burgess [PDFファイル/1.27MB]